…って、ネットの片隅にあるわたくしのブログをわざわざ見に来て下さる方には、説明は不要かもしれませんが、念のため。
やおいとは、男同士の恋愛をテーマにした、女性向けのマンガや小説作品のこと。
ボーイズラブ(BL)、JUNE等と呼ばれることもあります。
そのジャンルに馴染みのある人には説明するまでもないと思いますが、知らない人には
「なんでまた、男同士のラブストーリーを、女の人が楽しむの??」
という疑問をもたれがちなジャンルでもあります。
この分野に関しては、直木賞作家・三浦しをんさんが、『シュミじゃないんだ』(新書館)という本で、ボーイズラブと呼ばれるマンガに関して熱く語っておられ、私もかつての日記でとりあげさせていただきました。
★2006年11月01日の日記
「三浦しをん『シュミじゃないんだ』発売!!」
http://mangalove.seesaa.net/article/26594141.html
一方、学問の分野でも、やおいについてさまざまな論考がなされるようになっています。
そんな中、やおいにとっては大変重要でありながら、その対象の膨大さから、なかなか語るのが大変なマンガ同人誌を主題とした力作が登場しました!!
ジャーンジャーン(←ドラの音)。
それが、金田淳子氏による「マンガ同人誌 解釈共同体のポリティクス」です(『文化の社会学』佐藤健二・吉見俊哉[編]、有斐閣)。
この論考が納められている本の書名が『文化の社会学』であるとおり、学問分野にはうとい私には聞き慣れぬ用語がしばしば用いられています。
にもかかわらず、文意が大変伝わりやすく、読み進めていくなかで、同人誌というものをどのように位置づけるのか、どのような意味があるのか、ということに関して明晰な言葉が与えられていくさまに、刺激を受けます!!受けまくります!!(←ホントにわかってんのか、というわたくしへのツッコミはこの際、おいておいてください!!ええ、そのへんの棚の上にでも!!)
内容は1〜4に分かれていますが、「1 同人誌という領域」では、これまでのやおい論の先行研究を検討し、論調の変化にもふれています。
巻末の引用・参照文献一覧とあわせて、やおい論を概観したい人には必読だと思います。
私個人としては、「2 表現のなかの交渉」における、やおい同人誌は、「女性だけの解釈共同体」である、という指摘には、
「解釈共同体!おお、なんと実感そのものの言葉…!!」
と感動しました。
また(以下引用)、
> やおい論のなかには、やおいを性からの逃避、あるいは
> 女性嫌悪とみなすものがあった。しかし厳密にみれば、
> やおいにおいて回避されているのは、性や女らしさでは
> なく、女性を性的対象としてみる(性的対象としてしか
> みない)まなざしではないだろうか。(p.177)
という指摘には、ちょうど今アレコレ考えていた部分に答えをもらったようで、思わず膝を打ちました。
な〜る〜ほ〜ど〜!!
というかんじです。
「3 同人たちの市場」では、場を共有しない人には伝わりにくい、同人誌という市場の価値観を浮かび上がらせ、
「4 見えない彼女たち」では、「解釈共同体」である同人(おたく)女性たちが、その趣味を共有しない人に対してはおたくであることを明かさず、また、おたくっぽく見えないように気をつかっている、その構造自体について言及しています。
全編、先行研究をふまえつつ、「今」の問題をすくいあげている、意欲的な論考だと思います。
学問の言葉で書かれているのですが、
面白くってためになる!…という講談社のキャッチフレーズが脳裏によぎる、たいへん刺激的かつ面白いこの文章。
やおい、BL論分野に興味がある方には、強力にオススメいたします!!
『文化の社会学』
http://www.bk1.co.jp/product/2760277
http://books.yahoo.co.jp/book_detail/31852264
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=R0197677
★★★★★お詫びと訂正★★★★★
※あ、あのう……(もじもじしつつ)
すいません、間違えました。
第二段落、
>やおいとは、男同士の恋愛をテーマにした、女性向けのマンガや小説作品のこと。
>ボーズラブ(BL)、JUNE等と呼ばれることもあります。
ってなってますが……
誰が呼んだか、ボーズラブ。
って、誰も呼んでねえ〜!!
呼ばれてねえ〜!!
いや、ないこともないのですよ、ボーズラブ。
樹生かなめ先生の『極楽浄土はどこにある』とか…
…って、そういう話じゃありません!!
ボーズラブ→ボーイズラブ
に、(3/3に)「ギャー!」と叫びつつ…謹んで訂正させていただきました。
ちなみにこのミスを教えていただいた方には、
「大奥第二巻になっております。」
とのステキなご指摘を受けました……。
テヘッ★(ミスを笑ってごまかしてみる)
…ホントに……申し訳ありませんでした……。