連載させていただいている
おすすめマンガ時評
「此れ読まずにナニを読む?」、
更新していただいてます。
今回は、
近藤聡乃『うさぎのヨシオ』(エンターブレイン)
hhttp://www.nttpub.co.jp/webnttpub/contents/comic/090.html
をとりあげています。
うさぎのヨシオ(本名・ピョン吉)が喫茶店でバイトしながら
マンガ家をめざす、という
ちょっとファンタジックな設定なのに
地に足がついたところもある
ストーリー四コママンガ。
作者の近藤聡乃(あきの)さんは、
石田美紀(みのり)さんの著作
『密やかな教育―<やおい・ボーイズラブ>前史』
の表紙装画をお描きになった方でもあります。
これまでは(私の知る限り)
この装画のような
妖しさをたたえた絵柄での作品が多い方なので、
今回の「うさぎのヨシオ」のシンプルで軽やかな線は
全然路線が違ってビックリしました。
作者の引き出しの多さに、嬉しい驚きを感じます!
すごく面白くて、くすっと笑えて最後は感動してしまう
4コママンガです。
近藤さんのデビュー単行本『はこにわ虫』
★★★
ちなみに、
『密やかな教育―<やおい・ボーイズラブ>前史』は
タイトルにもあるように、
まだ「やおい・ボーイズラブ」という言葉もなかった時代、
雑誌『JUNE』の創刊、次世代創作者の育成、といった
新たな性愛表現の誕生と展開の歴史について、考察した力作です(竹宮惠子氏、増山法恵氏、佐川俊彦氏へのインタヴューも収録されています)。
研究者である石田さんの、資料に基づく丁寧なこのお仕事は
このジャンルに興味がある人にとっては
何度も参照される基礎的な文献だと思います。
作家・三浦しをん氏による素敵な書評が
朝日新聞に掲載されたことも印象深かったです。
『JUNE』やもちろん、
「やおい・ボーイズラブ」ジャンルに関心があって
歴史的な流れも知りたい、という方には
必読本だと思います。