気がついたらもう年末ですよ!!
今年は、もうあと1週間もありませんよ!!
早いです。
そんな2006年ですが、今年の締めくくりに、私的マンガベスト5を無理矢理、考えてみました。
1位 『大奥』(よしながふみ 白泉社)
男女が逆転した大奥の世界を描いたお話。
ドラマとして「えっ、どうなるのどうなるの」とドキドキワクワク「物語を読む楽しみ」を堪能しつつも、気がついたら私のようなぼーっとした人間でも、世の中の「当たり前」とされてることについてふと、「本当にそうなのかな?」と考えていたりする。
一粒で何度も美味しいすごい作品。
たとえば、1巻で、ある男の人が大奥に入ったとき、そこの男たちがすごく陰湿な競争意識をむきだしにしてるのを見て「ここは暗い」ってつぶやくモノローグ。
よく「女は嫉妬深い」って言われますが、この描写を見て、
「誰かの愛情が自分の運命を握っている、という環境におかれれば、愛情をそそいでもらえることが自分の存在基盤になるんだから、人間はそこにすがる」
「それは、男女に関係ない」
ってことを、強く感じました。
最近出た2巻も面白くて、続きが待ち遠しい気持ちでいっぱいです!!
2位 『君に届け』(椎名軽穂 集英社)
主人公は、外見が陰気なので貞子、というあだ名だけど、中身はすごく前向きな高校生・爽子。
「見た目と中身が違うので、周囲に誤解されるヒロイン」というのはよくある設定ながら、「見た目派手だけどホントは純情」ではなくて、「見た目が陰気なのに中身はポジティブ」っていうのは意表をつかれました。
…と、そういう面白要素を交えながらも、
「ほんのちょっとのズレを乗り越えられない大変さ、苦しさ」
を描いていて、そこが秀逸だと思いました。
決してはっきりいじめられてるわけじゃないんだけど、なんとなく遠巻きにされて、仲間に入れてもらえない。
そんな「声高に訴えられることじゃあないんだけど、でも心が確実にしんどい状況」で、けっして後ろ向きにならないで健気に頑張る爽子が、その姿を少しずつ理解してもらえる過程には、学園ライフを遠く離れた30代後半の私でも、思わず泣きそーになるくらいぐっときました。
アホみたいにいさわやか(作者談)な風早くんも、肝心なところでちゃんと大事なことを言える男の子で、すごく好感が持てるお話です。
これも、続きを楽しみにしています。
3位『恋をしましょう』(西田東 竹書房)
主に女性向けに男性同士のラブストーリーを描いた「ボーイズラブ」分野からは、なんといってもコレ。
愛とか恋とか考えたこともないよーな、実直に仕事に打ち込んできた(そして有能な)部長が、仕事という人生の支えを失いそうになったとき、全然違う価値観をもちこんでくる相手(しかも男)によって、人生が確実に変わる、…というような部分がたまりません。
こういう作品を許容しちゃう(できちゃう)ところが、BL分野の面白いところだなあと思います。
それにしても、部長と経営コンサルタントの、このお話。
「ヤバいくらいにアダルト」な『麗人』誌上でも、とびぬけてアダルト(年齢が)な設定(推定四十代?)。
西田作品は、今後、どこまでアダルトになっていくのか。そこにもドキドキ(?)します。
4位『DEATH NOTE』(原作・大場つぐみ、作画・小畑健 集英社)
話題を集めた問題作。
色んな人に薦めて「どのキャラが好き?」とかこの展開はどうよ、とかアレコレ語り合って、非常〜に楽しませていただきました。
映画も見に行ってしまったし。
完結を記念して!
5位『大阪ハムレット』(森下裕美 双葉社)
いわゆる世間の「普通」からははみ出してしまう人たちの日常の奮闘模様を描いた短編連作。
美男美女とか出てこない「キッツい」絵柄なのに(だからこそ?)、笑って泣けてしまう。
すごい!
メインの話やキャラクターも勿論いいんです。
でも、たとえば第3話の、主人公の夫の家族(両親や、子連れで離婚して戻ってきた姉までいる)のエピソードで、夫の姉が、自分の息子のやったことをめちゃくちゃ怒って横っ面ひっぱたいて、「自分の弱さ謝って済ますな!」と怒鳴る「オカン叱り」なんかが、脇といえば脇のキャラ(とエピソード)なのに、むちゃくちゃカッコイイ。
かっこよくない人のカッコイイ瞬間を、本当にうまく描いてて、そこもすごい、と思います。
あと中学生の男の子が「エディプスコンプレックス」の説明を聞いて「エゲツない話しやな〜」とつぶやいたりするあたりも、すごくおかしくていい。
…とまあ、あえて脇の小ネタばっかり取り上げましたが、メインの話もホント、いいんですよ。
これは読まんと損、だと思います。
あとは、『リストランテ・パラディーゾ』をはじめ、作品のアベレージがつねに高いオノ・ナツメ作品とか、ついに完結した羽海野チカ『ハチミツとクローバー』とか、ドラマとの相乗効果で大ブレイクした『のだめカンタービレ』とか、映画化もした『ラブ★コン』とか胸をきゅんきゅんさせてくれた『ハツカレ』とか、今年は少女マンガ系の作品もたくさん注目を集めて、少女マンガ好きな私には嬉しい一年でありました。
それにしても、思えば『ハチミツとクローバー』、最初の掲載雑誌(『CUTIE COMIC』)がなくなったとき、あわてて古本屋に走って雑誌のバックナンバーを買い集めたのも今ではいい思い出…。
その後『YOUNG YOU』で連載再開して、大人気を博するなんて、あのときは想像もしませんでした…)。
あ、あとこのブログでもとりあげた『デトロイト・メタル・シティ』も面白かったし、『金魚奏』もよかった。ギャグ系では、増田こうすけ『ギャグマンガ日和』(集英社)が小学生マインドあふれる作画とするどいツッコミのバランスがなんともいえずクセになりました。
来年も、たくさん面白いマンガが読めますように!!