遅刻遅刻!!
…と昔の少女マンガのヒロイン風に、パンを口にくわえて焦りつつ、遅ればせながら、参加表明です。
漫画史の研究をされている宮本大人さんのブログ「ミヤモメモ」にて、中野晴行「『酒井七馬伝』をAmazonで5000位以内にする運動」を立ち上げると宣言されました。
http://d.hatena.ne.jp/hrhtm1970/20070224
ミヤモメモによると、その翌日には、なんと順位は、2189位にまで躍進。
なので、「『酒井七馬伝』をAmazonで500位以内にする運動」へとバージョンアップされたのでした。
http://d.hatena.ne.jp/hrhtm1970/20070225
遅ればせながら、賛同いたします!
★★★
『謎のマンガ家・酒井七馬伝―「新宝島」』伝説の光と影 (単行本)
作者: 中野晴行
出版社/メーカー: 筑摩書房
発売日: 2007/02/22
メディア: 単行本
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480888055/miyamomemo-22/ref=nosim
★★★
酒井七馬って誰?
という方も多いかと思いますが、この方は、手塚治虫の単行本デビュー作「新宝島」の共作者です。
本書は、手塚治虫の影に隠れるかのような形になってしまったこのマンガ家について、たんねんな調査を元に書かれたノンフィクションです。
宮本さんによると、
> 「新宝島」を見る上でも、その共著者たる手塚治虫を
> 見る上でも、ひいては漫画史を単に「戦前/戦後」に区
> 別して見ることをやめる上でも、極めて重要な別の視点
> が得られるに違いないのです。
(「ミヤモメモ」2007.2/24より引用)
とのこと。
私もさっそく、amazonで注文いたしました(そしてもう届いております!ムッハー!!)。
★★★
私はたいへんに偏ったマンガ読みなので、手塚治虫関係のことにはまったく詳しいとは言えません。
が、あまりにも偉大な作家であるために、虚実がいりまじった神話に彩られた手塚というマンガ家の功績は、近年、きちんとした調査・研究に基づき検証されつつあります。
この本も、そういった流れの重要な仕事の一つとなるものだと思います。
『手塚治虫のタカラヅカ』や『マンガ産業論』といった著作もあり、多方面からのマンガをめぐる知識・見識をおもちの中野晴行氏による労作を、家に居ながらにして読めるありがたさ。
ありがとうインターネット!
というかんじです(すすす、すいません、あのう……まだ……ちゃんと読んでは…おりま…せん…がくり)。
そんなわけで、今まさに書き直されつつある漫画史に興味のある方は、ぜひぜひお手にとってみて下さい。
★★★
尚、「図書の家」の小西さんによると、本書の、
> 終わり近くに出てくる七馬の弟子…といわれた方が、
> かの少女漫画家でオドロキ。そうだったのか! いや、そうじゃないみたいなんですが
> それは読んでのお楽しみで。
とのこと。
●ネズの本棚@図書の家↓
http://tosho-no-ie.jugem.jp/?eid=93
……実は、小西さんのブログを拝読して「えっ!?それはだだだ誰!?どなた!?」と気になってしまい、うちに到着した『酒井七馬伝』の該当部分をこっそり(?)先に読んでしまいました。
……なんと!!あのマンガ家さんですか!!(驚愕)
このマンガ家さんの作品、私、高校の時読みましたよ〜!!(って…ひとりごと状態)
……などと、個人的にもいろいろ興味深く楽しみな著作でありました。
順調に読み進んできたらなんと拙文の引用が!!
ビックリ赤面!(笑)
いや、そこの部分少女漫画家って書いちゃうともしやネタバレ?とかドキドキしてたんですけど
川原さんにヒットしたなら許してもらえるでしょうか…?
でも、驚愕しますよね。ホント。
私もかの方の作品は雑誌で読んでました…。70年代に。
ほんと、そうだったのか・・・って思いますが、
他にも色々、そうだったのか、が多いご本ですねー。面白いです!
気になって気になって!!
ちなみに私にとっての酒井七馬というと、「鴨川つばめが強烈に私淑したマンガ家」というイメージでした。
この本の冒頭でもふれられていましたが、『消えたマンガ家』(大泉実成)のインタビューで、鴨川さん、『マカロニほうれん荘』の最後の方でボロボロになったとき「酒井先生にも顔向けできない」(p.178)ということで、連載を辞めたいと通告した…とおっしゃっているんですよね。
この時点で、もう酒井さんは亡くなってるんですが、鴨川さんにとっては「心の師」なんだなあ、と感じました。
鴨川さんがマンガ家としてデビューしたこと自体、「(こんなにマンガを愛していたのに不遇のまま亡くなった)酒井先生の弔い合戦」みたいな意識だった…というような記述をどこかで読んだ気がしたのですが、いま『消えたマンガ家』を読み返しても、「弔い合戦」という言葉はないですね。
どこで見たのかなあ。
鴨川さんのポップな作風と、酒井七馬という(なじみが薄く、ある意味では古めかしい)作家名、そして「弔い合戦」という言葉の激しさのギャップが大きくて、強く印象に残っています。
『消えたマンガ家』鴨川さんの項、ぜひまた読み返したいと思います。
私が「七馬」という名前をちゃんと意識したのは
それこそ中野さんの『手塚治虫と路地裏のマンガたち』だったんじゃないかと思います。(ちょっとあやふやで記憶も混ざっていますがきっとそう)
やはりこうやって丁寧に取り上げておられるものにふれると、今まで資料の中のだけで知っている名前がぐっと立ち上がってきますし、その時代の作品を見る目も違ってきます。
常々、少女漫画分野でもこんな風に紹介したものがほしいと思っていますが、今回の中野さんのご本でますますその思いを強くしました。でも、これからですよね。きっと絶対。信じています。
ていねいなレスをありがとうございますー!!
> 常々、少女漫画分野でもこんな風に紹介したものがほし
> いと思っていますが、今回の中野さんのご本でますます
> その思いを強くしました。でも、これからですよね。き
> っと絶対。信じています。
ギャッ!!
そうですよね!!
よ〜し、たくさん面白い本を読むために、長生きしなくては…!!
酒井さんの人生とともに、日本の漫画の発展の様子がわかるところも面白かったです。
>TBさせていただきました。
ありがとうございます!
ていねいな取材に基づき、「伝説」を検証して新事実が明らかになる、ドキドキする本ですよね。
コメントありがとうございました!