…ということに私が気がついたのは、何年前だったかなあ。
たしか、いまはなき雑誌・『Olive』の、福田さんの記事を見たときでした。
オススメの(あるいは、好きな?)マンガ作品をいくつか挙げる、という記事だったと記憶していますが、そのどれもが「これはかなり本格的なマンガ読みの方だな」というセレクトでした(たしか、大島弓子とよしながふみが入っていたような記憶が)。
でも、その記事で一番驚いたのは、福田さんが、BL系作家えみくりさんの作品を挙げておられたことでした。
そういった(名作との評価がまだ定着していない)作品まで読んでいる、ということもスゴいな、と思いましたが、同時に、その行為の「意味」にも驚きました。
記事が掲載されたのは、あやふやな記憶ですが、おそらく10年くらい前だと思います。
当然、いまほどにBL(ボーイズラブ)についての世間の認知もなく(いや今もそんなにはないけど)、情報も少なかった時代。
そんなときに、オシャレガーリー雑誌の『Olive』で、あえて、同人誌出身のイメージが強く、ファンには強く支持されながらも一般にはまだそれほど知られていない、えみくりさんの作品を挙げる、ということ。
これはつまり、
自分の目を信じて、
「私はこれを評価します」と、
(ディープマンガ読みではない層の読者に向けて)堂々と言ってのけてる、
ということです。
それも、ご自分の、おそらくは重要な「お仕事の舞台」である「ティーン向けオシャレ雑誌媒体」で。
すごい。
この人は、本当にただものじゃないな、とそのときに感じました。
その後、福田里香さんは、よしながふみさんの特装版の『こどもの体温』に解説を書かれたり、『フリースタイル』誌(※1)でやまだないと・よしながふみ各氏と対談されたり、BLガイド本『やっぱりボーイズラブが好き』(太田出版)で、山本文子さんととても示唆深い対談をされたり、と、すばらしいご活躍で、個人的には大注目しておりました。
そんな福田さんが、「初めて本格的にまんがをイメージしたお菓子を作り、まんがとフードの関係をエッセイとして書き下ろした一冊」(見返しの紹介文より)。
それが、この3月に発売された『まんがキッチン』(アスペクト)です。
この本では30作品をとりあげているのですが、このセレクトにも、さすが福田さん、とうなります!!
なにしろ、
『トーマの心臓』から『のだめカンタービレ』まで、
陸奥A子・田淵由美子の「乙女ちっく」少女マンガから『はみだしっ子』まで、
『ベルサイユのばら』から船戸明里の『Under the Rose』まで、
大島弓子から、坂田靖子から、岡崎京子から、入江亜季『コダマの谷』まで!!
(おがきちか『Landreaall』まであるのにはのけぞりました。すごい!!)
…こう挙げてくるだけで、いかに福田さんが長い期間、幅広く、もちろん現役でマンガを読んでおられるのかが、わかる方にはわかっていただけると思います。
マジ、すごいッス。
この本に載ってるのは、
マンガに出てくるお菓子を作るんじゃなくて、
マンガを読んだときのイメージをもとに作られたお菓子のレシピです。
そして、そこにそえられたエッセイも、簡潔ながら批評的な視点があって、非常に刺激的、かつ面白い。
作品をイメージしたお菓子はそれぞれかわいくて美味しそうで、写真も美しく、文章も濃くって、鋭い。
こーんな贅沢な本なのに、なおかつ、なんと、
4人のマンガ家さんと福田さんの対談まで収録されてるんです!!
しかもそのメンバーが、
萩尾望都、くらもちふさこ、羽海野チカ、よしながふみ
という豪華さ。
さらに、やまだないと氏による描きおろしマンガまでついて、
たったの1680円(+税)。
アフェリエイトに登録したから言うワケじゃないですが(いやホントにホントに)、これは絶対お買い得です!!
少女マンガ好きの方、評論好きの方、そして綺麗なお菓子の本が好きな方。
即買いを、オススメします!!(表紙は、羽海野チカさんです)
※1『フリースタイル』vol.2(フリースタイル 2005)やまだないと・よしながふみ・福田里香<わたし達の「少女漫画」>。
堂々19ページのすばらしい座談会。内容も少女マンガ好きの方には見逃せない示唆にとんだものです。
ブログ検索からおじゃましました。
今、いろいろなブログへおじゃましながら、
勉強しつついろいろと歩いています。
ためになるブログたくさんあるので、
とっても、楽しいです。
いろいろと勉強させてください!
また、おじゃましますね。
※同じ所へ何回もおじゃましたら
ごめんなさい。
突然のご訪問失礼いたしましたm( __ __ )m
今後ともよろしくお願いいたします。
応援ポチッとな\(*⌒0⌒)bがんば♪
福田里香さんは大好きなんですが、不覚にもまだこの本を手に入れていません。でもこの記事をすぐ手に入れたくなりました。これはもう早々にゲットします。
今後ともよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
福田里香さんとよしながふみさんががお好きなら、絶対買って損は
ない本だと思いますよー!
とってもかわいいスイートな見た目なのに、中身は鋭くて、ちょっ
と苦さもある。
この本自体が、ある種の少女マンガを連想させるような作りなので
す。
感服しつつ、なんだかすご〜くていねいに作られたお菓子を味わう
ように、ちょっとずつちょっとずつ読んでいます。
もし手に入りにくくてネットでお買い求めの時は、よろしければわ
がブログからも購入できますので、どうぞ。
と、ちゃっかり宣伝(笑)。