さすが、です。
ちょっと泣きそうになるくらい、よかったです。
吉田秋生の作品は、絵柄や設定なんかがいわゆる「いかにも少女マンガ」なキラキラしたものじゃなかったり、ハードだったりして、「少女マンガっぽくない」と評されることも多いのですが、私はいつも「ああ、少女マンガだなぁ…」って思います。
もちろん、嬉しい気持ちで。
★★★
両親が離婚して以来、長い間会ってない父の、突然の死の知らせにとまどう三姉妹。
自分たちを捨てた父を許せない、しっかり者の長女(看護師)。
父と離れたときに幼かったせいで、感慨がわかない次女(地元の信用金庫勤務)と、三女。
葬儀に向かった先で、初めて会う、涙一つ見せない、しっかりした中学生の「妹」。
そして、自分の悲しみで手一杯の、父の再婚相手。
父の死をきっかけに、初めて会った(それまで存在すら知らなかった)しっかり者の妹の、語らない悲しみを、姉妹はそれぞれに感じます。
★★★
かつて描かれた吉田秋生『BANANA FISH』の番外編に「光の庭」というお話があります。
中学生の暁(あきら)という女の子が、28歳になった英二のところで一夏を過ごして、自分が自分であることを受け入れられるようになる…という内容でした。
『海街diary』でも、姉妹たちは、妹の苦しみに気づきます。
英二が、暁の、語らない苦しみを感じとったように。
さまざまな苦しみを、「苦しい」と声高に言わないで、それぞれのやり方でやり過ごそうとする人たちが、とてもデリケートなやり方で他者によりそってもらえたときに起こる、小さな奇跡。
それを、吉田秋生は、とてもうまく描くことのできる人なんだ、と改めて思いました。
声高に言えない、もしもそうしたら、自分が壊れてしまうような苦しみに、そっと耐えている女の子(あるいは、男の子)たちのそばに立って「大丈夫だよ」って言ってあげる。
あるいは、無言で、傍にいる。
そんなことが、人の「言えないけど苦しかったこと」を、確実に癒して、前進する力になってくれる。
声高に言わないからって、決してないわけじゃない「傷」を、のりこえるとはどういうことなのか。
少女マンガって、そういうことを真摯に追求してきた部分があるんじゃないか、と私は思っています。
そして、ずっとずっと前から、吉田秋生は、そういうことをものすごく上手く描いている「少女マンガ家」だ、と私は思っているのです。

なりました。とても楽しく読ませていただいて
おります。私も少女マンガ大好きです♪
こちらで紹介されてて、朝日新聞にも紹介
されてて、すごく気になってました。そして
一昨日私もやっと読みました「蝉時雨のやむ頃」。
3度読んで3回泣きました〜(T-T)
すごく良かったです。この本に出会わせて頂けて
感謝感謝です。
はじめまして!
私のブログが後押しになって『海街diary1 蝉時雨のやむ頃』を読んで頂けたなんて!
う〜れ〜し〜い〜!!
とても光栄なお言葉をいただき、感激しております。
朝日新聞の紹介記事、私も毎週楽しみに読んでます。
嬉しいお言葉を本当にありがとうございました!
また気が向いたら、のぞいていただけると嬉しいです。