2007年08月15日

暗い明るさ、明るい暗さ。

暑いですね……。


2007年08月09日のエントリ、男の子も大変http://mangalove.seesaa.net/article/50766619.html
の補足というか、続き。


木堂椎『りはめより100倍恐ろしい』(角川書店、2006)と、白岩玄『野ブタ。をプロデュース』(河出書房新社、2004)の2冊を読んで、この主人公達に共通する(ように感じられる)、ざっくり言うと、


「素のオレ見せたら、お前ヒくっしょ」


的な友人観・人間観に基づく処世術について、いろいろ考えてます。


一見強気な「いじる」方に立っていても、いつ己が「いじられ」キャラへと転落するかわからない不安と背中合わせだったり、
どんなに人気者でも、一つの事件で入った亀裂が原因で、
あっというまに「結局お前はそういうやつだよ」とそっぽをむかれる恐怖がぬぐえなかったり。


表面的な明るさとは裏腹の、暗い絶望が、ここにある気がして。


もちろん『りはめ』も『野ブタ。』も小説で、フィクションであり、現実の男子がそういう状況である、とストレートに結びつけるのは危険なのかもしれないですが、現実の息苦しさとつながってる小説なのでは、という気がとてもしました。



そして、08月09日のエントリではよしなが氏のインタビューを引用しましたが、そのよしなが氏の『大奥』(白泉社)のワンシーンを、ふと、思い出しました。


『大奥』の舞台は、疫病によって男子が激減したパラレル江戸時代。
将軍は女。
大奥には、貴重な男子が数多く集められ、そこにいる男たちは、容貌と処世術によってのみ評価されます。


第1巻で、男ばかりの大奥へ奉公することになった水野は、剣術で己と互角に戦える美形の剣士と勝負し、
「こんな剣客がおられるとは!」
と感激しますが、勝負に負けた相手は水野に対して、

「いい気になるな!!」
「拙者の方が そなたなどより ずっとずっと美しいわ!!」

という捨てぜりふを吐きます。
その姿を見て、水野は、心の中でつぶやきます。


「お信 ここは 暗い」

「こんなにも輝くばかりの美貌や才覚を持つ者達がひしめいているというのに
心が 暗いのだ」

と。


★★★
 よしなが版『大奥』は、男女の性役割を逆転させた架空の「大奥」という舞台における、
ある種の思考実験的なフィクションだと思っていたのですが、
そこで描写される、

<閉塞空間で、己への評価に神経をはりつめて生きている人間特有の「暗さ」>は、

現代の、現実の男子ワールドの、表面的な明るさとは裏腹の「暗さ」と、
ある意味で通底してるのかもしれないな、と思いました。


posted by 川原和子 at 07:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。