2007年11月19日

夏目房之介さんの「大学でマンガ・アニメをどう語るのか?」

11月17日(土)に学習院大学で行われた
夏目房之介氏の「大学でマンガ・アニメをどう語るのか?」
という講演に行ってきました。
この講演は、
来年度から学習院の大学院に開設される「身体表象文化学専攻」の
入試説明会で行われたものです。

夏目さんご本人のブログにも、エントリがあがっています。
夏目房之介の「で?」
2007年11月17日
身体表象文化学コース講演
(※講演のレジュメが読めます)
http://blogs.itmedia.co.jp/natsume/2007/11/post_42fa.html
2007年11月18日
学習院で講演
http://blogs.itmedia.co.jp/natsume/2007/11/post_2a75.html


★大学大学院に新設される身体表象文化学専攻の概要(学習院HP)
http://www.gakushuin.ac.jp/univ/g-hum/cult/02syoukai.html

★★★
 講演のなかでも指摘されていましたが、
多くの大学や院で、マンガやアニメで論文を書きたがる学生が多く、
しかし教える側が、それらのジャンルについてよく知らないために困ってしまう、
といった状況があるようです。


 私は学問分野にはまったくの素人ですが、
かつて『ユリイカ』で
評論家・編集者の藤本由香里さんが書かれたように、

「マンガ研究は、膨大に手つかずの大地が残っている新大陸のようなもの」

で、

「みんながそれを手探りしながら、自分のわかるところの地図を描き込んでい」っている、
エキサイティングな状況なのでは、と
ワクワクして見ています(『ユリイカ』2006年1月号藤本由香里『「日本マンガ学会」ができるまで』p.72)。


 これまで在野で表現論を深めてこられた夏目さんが
学問世界の先生になられることで、
よりいっそう研究の地図が埋まり、そして深まっていくのでは、と、
勝手ながら期待しています。


 そして一方で、「いくらなんでもこれはない」と、
私のような学問的鍛錬を経ていない者でも思うような論文
(あきらかな間違いがあるもの、論拠が客観的でないものなど)が減って、
全体の水準があがっていくことも、心から期待しています。
なんか、外野が勝手なことを言うようですが、
「これは、マンガにも学問にも失礼なのでは?」
って思うようなものがあるんですよ!
ホントに。
マンガ(論)なめんなよコラ、と突如ヤンキー風に言いたくなるくらい。
でもきちんと学問的に訓練を経てないので、
「ここがヘンだよこの論文」って、
ちゃんと学問の言葉で言えないのがヒジョーに歯がゆいわけですが。
しかし、頭がよくて誠実に学問と取り組みつつも、
いまの問題にも目配りできているすごい人(北九州市立大学で漫画史の研究をされている、宮本大人先生とか!)も
いらっしゃいますから、そういう方に後ろから、これまた勝手に声援を送っている次第であります!!
……無力な私ですいません……(うなだれ)。



 ところで、当日の夏目さんのお話は、例によってとても興味深かったです。
特に、今回、大学に所属することも、
お話があったときに直観で決めた、というようなことをおっしゃっていて、
そこも夏目さんらしいな、と思いました。
直観、って、一見いいかげん(?)なようで、
実は非常に(過去のデータに基づいた)総合的な判断だったりするなぁ、とつねづね感じていたので。


 私の見てきた限りの勝手な印象ですが、
夏目さんってすごい!と私が感じるのは、
鋭い着眼点から研究を深めてこられたことももちろんですが、
たとえば若手研究者から批判的な視点からの指摘があったとして、
それがそのとおりだと思われたら、
「そこは、あなたの言うとおりです」
と、ちゃんとおっしゃるところです。
 なんというか、「真理に対する敬虔さ」を感じて、いつも胸打たれます。
私が夏目さんくらい実績がある人間だったら、
もういばるわ耳に痛いことは絶対聞かないわ若い芽は早めにつむわ(?)、
思うさま「老害ふりまきTai!」って感じの手に負えない人では?と思います(←しかし、いったいどこでどんな権力を握るつもりなのか私…)。



 かつてBSマンガ夜話で「弥次喜多inDEEP」をとりあげたときに、
いしかわじゅん氏との対話の中で、夏目さんは

「自分たちの世代にとっては、寓話はやっちゃいけないことになったの。1968、9年に」
「どのみち、プロパガンダになっちゃうじゃん、って」

とおっしゃり、そのあたりのことを、

「まだ日本でちゃんと言った人はいないんだけど」

ともおっしゃっていましたが、
今後、表現論のみならず、このあたりも、「ちゃんと語って」くださるのでは、と、
これまた勝手にワクワク待ってます(や、ファンって勝手なものですね。お許しを)。



……うーん、こんな先生に教われる院生さんが、うらやましいっす。
って、そんなまとめでスイマセン。
posted by 川原和子 at 13:16| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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